LCフォントは、8dotや10dotフォントにおける絶妙な線の省略や同一化が非常にポイント高いと思うのだが、
当初の狙いはそれ以外にもあったようです。
従来のドットフォントを液晶に表示してみると斜め
線や曲線部分にかすれ現象が発生していることが分か
る。
これは液晶ディスプレイの特性によるもので,CR
Tではもともとにじみ現象が発生するためにかすれは
発生せず問題にならなかったものである。(写真1)
そこで我々は,液晶ディスプレイでのかすれの原因
がドットの配置であることに着目し,かすれを補完す
るドットを付加することでかすれのないドットフォン
トを生成することができた(図3)。
-- http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/journala-69/pdf/69-18.pdf
斜め線を1dot幅で表現すると、CRTではうまく滲んでつながった線に見えたのが、
液晶ではドットがくっきり分かれているのでかすれて見えてしまう、
そのため斜め線の部分だけは2dot幅(実質1.4dot幅)にしないといけない、
ということだそうだ*1。
今となってはそれで本当に見やすくなるかどうかはかなり怪しいが。
しかし、それに気づいていたのはシャープだけではなかったようで、
NECの98NOTEのフォントは通常の98のフォントと比べて斜め線が太くなっていたらしい*2。
http://members.at.infoseek.co.jp/yu_izumi/doc/prev/sysfnt.html に画像があったのを見て知った。
NEC の PC-8801、PC-98x1、PC-100 の16ドットの内蔵フォントです。
また、PC-98 NOTE は液晶で見易くするために線幅を太くしたフォントが内蔵されています。
このへんからすると当時は「液晶で斜め線を描くときは太くしないといけない」というのは常識だったのかもしれない。でも今そんな話を聞くことはまずない。今ボクが確認できる携帯に搭載されているLCフォントでも斜め線を太くするような処理はされていない。
当時は液晶の開口率が低かったのでそういうワザが必要だったが今となっては必要がないとか、そんな感じなんだろうか。