京都市バスのロケーションシステムについて

京都市営バスがiBeaconで通知、停留所の画面に「まもなく到着」」の件、結局新しいシステムで何ができるようになったのかよくわからない。


最も大々的に謳っている「バスが近づいたことを停留所の専用ディスプレイに反映させる」については京都市バスはとっくの昔に既に実現済みで、この記事の停留所の写真も既存システムのものなのではないのだろうかという気がする。既設の設備は専用ディスプレイではないものが多いと思うが、それはそもそも大画面のフラットパネルディスプレイが存在しなかった時代から実現されていたためである。
(たとえば http://usability.ueyesdesign.co.jp/diary/183.html などを見れば2003年時点で既にほぼ今と変わらないデザインの表示が停留所に表示されていたことがわかる)


記事を見るとさらに不明瞭な内容がある。

バスに設置されたBeaconは、京都市交通局と京都高度技術研究所(ASTEM)が共同開発した「ポケロケ」を応用したアプリと連携することで、バスが近づいてきたことを停留所のディスプレイに反映し、バスを待っている利用者にその接近を知らせることができる。

スマホアプリは利用しないため、ユーザーは自分のスマホであらかじめアプリをインストールするなどの準備を行う必要はない。

「アプリと連携する」と書いたその直後の段落で「スマホアプリは利用しないため」と書かれているので、結局アプリをインストールする必要があるのかないのかどちらなのか不明である。アプリを利用しないならOSの持っている仕組みをいきなり使う必要があり、その場合iOSAndroidが既に汎用的にそういう仕組みを持っている必要があるんだけど、常識的に考えてそれを使うならAppleGoogleと何らかの契約が発生するのではないだろうか。そうでなければアプリインストールによるオプトイン的ななにかが必要である。誰でも勝手に通知を配信できるような仕組みがあるなら、それが広告で埋まってしまい通知としての意味をなさなくなるのは時間の問題である。


結論としては胡散臭いということに尽きる。Aplixのニュースリリースには

世界初、Beaconで交通インフラを支援するサービスの実現を可能にしました。
http://www.aplix.co.jp/?p=11330

と書いてあるけど、結局、Beacon(このBeaconという単語についてもリリース中に定義はないので固有名詞なのか何なのかわからないままである)を使ったら前のとどう違って何が良くなるの? ってところが何も書かれてない気がする。