怖くて最初の製品には手が出せなかった。というか僕が買っても3時間くらい使ってその後埃をかぶることが確実であると思われた。
enchantMOONははっきり言って使い物にならないと思うよ。だから、ペンでお絵かきしたりささっと調べ物したり、情報を良い感じにキュレーションするのにすぐ使おう、なんて夢は見ないほうがいい。
こう言うと批判しているように思われるかもしれないけれど、そうではない。ハードウェアやOSなんてそんなものだよということだ。
たぶん最初はソフトの気が効いていなくて使いづらいに違いないだろうとは思う。しかし個人的に気になったのはハードウェアスペックの低さだった。699gという重さも気になった。iPad miniと同じくらいの電池容量で同じくらいの解像度でなぜそこまで重くなるのかというのも気になるところだけど、CPUパワーがiPad miniや最近のAndroidタブレットより格段に低そうなところも気になった。
なにせAllWinner A10 1.2GHz は Cortex-A8 である。A8には(VFPが遅いとかOMAP3搭載のAndroid端末で出来があまり良いのがなかったりで)あまりいい印象がない。
もうちょっと重くして、あと5000円高くてもいいからもっと電池とパワフルなCPUを積んでソフトを楽に作れるようにしてやるべきなのではなかったのか。そこがずっと気になっている。
ただ、これまでペンで手書き的なのを触ってきたときに一番不満に感じていたのが(主にペン側の)解像度の低さだったので、enchantMOONの解像度がXGAだと聞いたときはちょっと落胆したんだけど、でも実際にはディスプレイの解像度はXGAだけどペンの解像度はめちゃくちゃ高くて、内部的にそれがちゃんと処理されて表示はアンチエイリアシングされているというやり方らしくて、それはなんとなく正しいと思う(表示解像度も上げるとペンに関係のないアイキャンディー的なエフェクトの処理も増えてしまいしんどくなってくる)。国内各社がペンで手書きメモができることを少し売りにしたAndroidスマホを去年くらいに出していたと思うがベースとなるAndroidと合わせてどういうUXにすべきかを詰めてユーザに提案することは状況的に不可能だったので中途半端なおまけ機能にしかなってなかった*1。enchantMOONはその、国内メーカの一部の人達がやりたくても全然できなかった、ペン入力でのUXの未来を作り上げているところだと思うので、初代の出来がどうこうはおいといて継続して頑張って欲しいし、それがもしマシンスペックが足りないとかハードの出来が悪いとかで悪い印象をユーザに与えているならそれはとても残念だと思うんだ。
なんかMorphyOneと比べてる人が多いけど「ちゃんと出荷できた分だけMorphyOneよりは進んでる」とかいう言い方はちょっとなと思う。(ここから先は蛇足だが)MorphyOneは量産以前の1台のプロトライプどころかプロトタイプになる前の基板ですら全然動かなくてソフトも電気設計も筐体も何にも作れてなかった。プロトタイプを安定動作させるところまでが全体の半分、残りが量産にまつわるいろいろだとして、プロトに向けても基板は全体の10%くらいでその他が90%と考えると、MorphyOneは全体の2%くらいすらちゃんと出来なかったダメプロジェクトだ。しかも筐体やソフトについてはMorphyの彼は責任を感じていなかったんじゃないだろうか。なぜ誰も手伝ってくれないのか不思議に思っていたのではないか。最初から「自社で全部やる」と腹をくくっているenchantMOONと比べるのはいくらなんでもUEIの人たちに失礼すぎるだろう。