新iPod nanoの感想

新しいiPod nano(2010年発売のもの)が来て2〜3週間ほど経った。この間あまりヘビーには使わなかったが一通り使ったように思う。
今回のiPod nanoはどっちかというと改悪という評判をよく見かけるような気がする。僕は昔のnanoを買って使っていないからこいつがどれだけイケてないかがわからなくてそれについてはなんともよくわからない。


ただ、今回のnanoのUIの(細かなところの)作り込みは凄いと思う。新しいものとしてここまで気合を入れてスキなく作り切るというのはなかなかできたものではない。この完成度を実体験できただけでも買った価値はある。2009年のiPod nano 5thは、店頭で見た限りUIの反応がもっさりしていて良くなかった。今回のnanoは触っていてそういう面で不満を感じることはまずないと思う。


UI仕様には不満があるところもある。写真と音楽で次のコンテンツに進んだり戻ったりする操作が全然違うので毎回戸惑ってしまう。それぞれをそれぞれのシーンで使いやすいように最適化するとこうなってしまうのかもしれないけど。それとも関連するが右スライド操作で戻れる画面と戻れない画面があるってのも困る。しかしそれぞれの部分における出来はとてもいいのだ。


写真や音楽のメニューっぽい画面から機能アイコンの一覧に戻ってくるときなどにスライド操作を使うのがiPhoneと違うところだ。このnanoでは戻るスライド操作の指にアプリ画面がくっついてスライドし、かつ途中でキャンセルして元に戻すことができる。iPhoneで「戻る」にスライド操作を割り当てていることはあまりなかった、ホームボタンを押すとアプリの画面が縮小していくアニメーションが表示されるがそれをキャンセルすることはできなかったしする気にもならなかった。これがスライド操作になったので途中の画面も操作に合わせて動かす必要が出てきたんだろう。


しかしだいたいここまで細かいところにこだわって誰が嬉しいというのか。僕は嬉しいけど。これは過剰品質というヤツではないのだろうか。もちろん過剰品質で、普通のプロダクトでこんなところに金をかけたら超赤字なんであるが、iPod/iPhoneはモデル数が非常に限られているし大量に売れているプロダクトなのでこういうところにも金をかけることができるということだ。PS2の頃のSCEに似た雰囲気を感じる。5年後にモデル数が増えたり販売の伸びが鈍ったりスペック向上に伴なう開発費高騰でこの地位が脅かされていたりするかも、とも思うが、今回のnanoのように劇的な機能削減をしても平気なのであれば磐石かもしれない。たいていの失敗パターンはモデル数が増えたり互換性維持のためにメンテする機能が増えてしまったところから始まっているような気がする。