デスマーチになるのがわかってて決定を下す時

やむにやまれずデスマに突入するときがある。
3ヶ月とか半年とかのスパンで性能が上がっていくようなジャンルで、
競合製品が出てくることが決まっているような場合によく起こりやすい。
そして今作っている製品が成功しないと、会社がつぶれてしまう、とか、
そのジャンルから撤退しないといけなくなるような、
そんな場合は特にデスマになるような決定を採択してしまいがちだ。


いきなりなたとえ話になるが(しかもケータイとは関係ないが)、
仮に自分がすごく特殊な技術を使って低消費電力を実現したx86互換プロセッサを開発している企業のトップで、
いまちょうどインテルがクソなチップしか出しておらずチャンスなんだけど、
でも自分たちのプロセッサも完成していない、というような状況で、
以下の3つの選択肢しかなかったら、どうするのがいいのだろう。

  • およそ人間的ではない生活を開発陣に強いて、
    通常の2倍程度の密度のスケジュールで開発をすすめる。
    最後はきっとデスマーチになるだろう。
    奇跡が起こってそのスケジュール(またはその1ヶ月遅れ)で完成したら、そこそこ売れて事業が存続できる。
  • とりあえず通常の1.2倍程度の密度のスケジュールで開発を進める。
    多分開発が完了したころにはIntelのもっと高性能なCPUが出ていて
    自分たちの作ったプロダクトには商品価値はなくなっており会社はつぶれることだろう。
    もしくは開発途中でIntelの発表を見て「仕様変更だ!」となってデスマ化するか。
  • デスマーチを避けて事業を継続することはどうせできないので今すぐ事業をやめ、
    開発者も半分以下に減らしてこれまでの成果をライセンスする事業にスライドする。


間抜けで、単純に考えが足りなかっただけのために
デスマーチに陥っている輩も多いが、
熟考した末にデスマーチになっても仕方がないと判断し、
デスマーチプロジェクトを立ち上げてしまう場合もあるのだ…


もちろんそんなプロジェクトに巻き込まれた下っ端の人間にとっては、
そんな上の人の気持ちや夢や技術やブランドへのコダワリなんて知ったこっちゃないので、
単に迷惑なだけなんだけども。


ケータイは、いかに最新のデバイスを使った商品とか、
最新のキャリアサービスに対応した商品をタイムリーに出すかが勝負になるジャンルなので、
非常にデスマに陥りやすいんだと思う。