定住生活が必要

「銃・病原菌・鉄」という本を読んでいる。たとえば、
「他文明を征服できるような技術が発達する条件は定住生活にあるのだ。」
というような記述がある。大規模ソフトウェアを作り続けなけれなならない会社において定住生活とはなんだろうか。それは安定した開発プロセス・安定したリポジトリ・安定したプラットフォームなりフレームワークなりになるだろう。おそらくAppleMac OSiOSを開発している開発者は上記3つを完全に揃えている。Googleにおいてもそうだろう。


一方で僕らの会社はどうだろう。1〜2年に1度大規模な、半年に1度小規模な組織変更があり自分の居るチームがころころ変わる。一方で技術を蓄積すべきリポジトリは、リポジトリというよりもファイルサーバーの類しか用意されていない。そのサーバーを管理するチームが使用料をユーザ数に比例する形でチームの予算から徴収するので、チームから離脱するとアクセス権限が剥奪される流れになる。
技術を実現する上で基盤となるプラットフォームやフレームワークは、長期的な商品ラインナップが明確になっていないせいで安定しない。Androidでやれと言っているのはしばらく続けるだろうが、その上でHTML+JSでアプリを作ろうとしているチームでは、どういうライブラリを前提にしてやっていこうとしているのか全く不安になる。開発プロセスは過去に子会社ごとに取り組んでいたところに子会社の統廃合がいろいろ発生したり、また当時取り組んでいたプロセスがC言語で組込みRTOSを前提にしたものだったため時代遅れになってしまった結果、全く不安定なまま放置されている。


なんにせよそういう部分が安定してこないと、自社で開発した新しい技術を使った最終製品を世に出すのは難しいような気がするし、そのあたりが安定するまえに要素技術を開発させられているのはなんとも苦しい。


この本には他にもいろいろ考えさせられるものがある。人類の歴史においてある部族が他の部族を征服して広がっていく様は、ハードウェアやソフトウェアのプラットフォームの広まりと似ている部分がある。