家電をコンピュータ化したくないのは、決して開発者の意識の問題じゃない

Cellの家電搭載を阻む障壁にこう書かれている。

 コンピュータ側の人は、家電がコンピュータ化するのは当たり前と思っているかもしれない。Appleジョブズ氏(Steve Jobs氏。CEO, Apple Computer)もMicrosoftのバルマー氏(Steve Ballmer氏。Chief Executive Officer, Microsoft)も、みな当たり前と思っているだろう。でも、家電の人は違う。家電がコンピュータでなきゃいけないと思っている人はほとんどゼロに近い。

それは違うだろう。
僕らが考えている殆どの家電は、Appleで言えばiPodiSightBluetoothキーボードみたいなもんだからだ。JobsがiPodiSightやキーボードをコンピュータ化するのが当たり前だと考えているとはとても思えない。

 家電の世界は、垂直統合で、自社の蓄えたテクノロジでハードから製品を差別化する。それに対して、PCでは水平分業で、家電と比べるとハード自体で差別化するのが難しい。家電のカルチャーから見ると、PCのようなコンピュータは差別化で儲けにくいモデルに見える。だから、コンピュータ化には警戒心がある。家電の開発者は、自社の技術とその技術による差別化に自信を持っているため、アドバンテージが失われるように見える家電のコンピュータ化を警戒する。

この話も、iPodを考えれば、カルチャーの問題だけではないことは明らかだと思うが。


それとは別に、家電とコンピュータではライフサイクルが違うということもある。
PCは普通は4年くらい経ったら買い換えるものだという認識がたくさんの人にあるが、テレビを一度買ったらたいていの人は10年間程度は使い続ける。だからたとえばテレビ向けにコンテンツやアプリケーションを配信するとなると10年間対応しつづけないといけない。セキュリティホールのFixなんかは下手すると15年間はやり続ける必要がある。それは開発者側の問題ではなく消費者の意識の問題でもあるし、そもそも家電のビジネスモデルの問題かもしれない。

携帯電話がいい感じにコンピュータ化されてきたのは、2年で買い換えるという周期が普通の家電に比べてやたらと短かったからだと俺は思っている。