9割くらいは昔話。いっぱい挙げていきたい。またいろいろ思いついたら書く。
Windows ReadyBoost
HDDがランダムアクセスに弱いんで、Windowsの起動に必要なファイルをUSBメモリにキャッシュしておけば起動が速くなるんじゃね?みたいなアイデアでWindows Vistaに標準実装されたのだけど、当時のそこそこ安価なUSBメモリはHDDよりもランダムアクセスが遅かったので全く効果がなかった。高価なUSBメモリでは少し効果があったが、そうこうするうちにSSDが出てきて、「そんなことするくらいならSSDをシステムドライブにすればいいんじゃね?」 ってことで終わってしまった。
Hybrid HDD
HDDは大容量だけど遅くて、SSDは高いので、HDDとSSDを組み合わせて一つのHDDに見せかければSSDの速度とHDDの容量の両方のメリットが得られるじゃん。普通に効果があったんだけど、そうこうするうちにSATAがSSDの速度のボトルネックになっていることが判明して、デスクトップもノートもSSDのインタフェースとしてSATAではなくPCIeを使うようになってしまった。Hybrid HDDはPCとの接続がHDDと同じSATAである時点で「PCIeのSSDに速度で全然勝てないやつ」になってしまったし、非常にコンパクトなm.2の普及により、HDDが載ってるやつに追加でSSDを載せるスペースも簡単に捻出できるようになってしまい存在価値が激減した。各社からHybrid HDD(SSHD)がいろいろ出てきたのは2013年頃だという話だが、2016年には128GBのSSDが5000円で売られるようになってHybrid HDDをわざわざ選ぶ理由はなくなってしまった。
スマホのバックグラウンドでbluetooth LEで屋内測位してショッピングモールで店の案内をするやつ
2013年頃にコンセプトは流行ってたんけどバックグラウンドで独自仕様で電界強度を定期的に判定するようなスマホアプリはバッテリーの持ちが劇的に悪くなるので当時からちゃんとユースケースを見極めなければ「そんなのダメに決まってんだろ」という感じだった。モールに入った瞬間にアプリのその機能をユーザにユーザの意思でONさせることができて、それに見合ったユーザへのメリットを提示できるようなものでないとダメだった。当時から。なのに、そのへんを言わずに集客効果が見込めるだのなんだのをセールストークにする奴らがたくさん居て辟易してた。さすがにすぐにそんなのはなくなって、特定の場所でアプリを起動してチェックインするとポイントやアイテムが貰える、くらいのやつになってると思う。
コードを書かなくてもGUIをいじるだけでソフトウェア開発ができる系のいろんなやつ
ソフトウェアがメンテしている人や、レビューをしている人が何をやっているかお前らは理解できているのか? と聞きたくなる。ソフトウェア以前に、それ以外のコンフィグファイルも全部テキストファイルになってるだろ? それはなぜなのか考えてみてほしい。変更量がわかるし、変更点を簡単にレビューできるようになっているし、コンピュータによる自動的な処理にも向いているからじゃないか。
https://autoprove.net/supplier_news/dspace/30169/
このへんのモデルベース開発、みたいなやつもそうで、「C言語より抽象度の高い記述でデザインします、それを自動変換します」は、いいんだよ。それはあってる。でもそれはテキストでやってもGUIでやっても概念的には同じだろ? そしてそのテキストでやってる方はC言語以外のよりモダンなプログラミング言語と概念的に同じだってことが素人にもバレてしまうから、モデルベース開発ってのは「GUIでやってるから、これが仕様書としても使えるんです」っていう奇妙な主張をすることになってしまう。別にそれはそれでいい。たとえば僕も音源データやビットマップをテキストで管理したいとは思わん。だがどちらを適切な方法なのかというのは、テキストの差分で仕様書を管理するほうが得意か、図面の差分を目で見て仕様書を管理するほうが得意か、そういう観点で選ばれるべきで、後者のほうが先進的という話には全くならないはずだ。
僕らの会社でも偉い人の鶴の一声でモデルベース開発とかそういうのをやらされているやつが居るが可愛そうで仕方がない。
蓄積型放送
放送は動画をバリバリ送れるがネットはそうではないし速度が遅いのでハイブリッドにしたらいいんじゃね? みたいなやつ、ダメだったな。
バッテリ交換式EV
ないわ。。
Continuum
スマホを、なんかよくわからんキーボードとディスプレイにつなげるとPCのように使える! みたいなやつ。残念ながら僕が使っているPC、画面が6インチとか9インチとかなんだよね…でかいディスプレイ繋がってもいいけど、ディスプレイなしでもスマホ画面でPCのように使えるようにしてほしかったなあ。
画面切替に時間がかかるときに画面遷移アニメーションを行うことで遅さをユーザに感じさせない的なやつ
初代のiPhoneの画面を見て、誰かがこういった。そしてみんながそれを信じてこのアイデアがさも万能であるかのように広まってしまった。本当にちゃんと技術者が入って検討していれば、そしてCPUとGPUが分離していて、GPUパワーが余っていれば、たぶんこれはイケてるアイデアだ。でもそのときにアニメーションを実装させられた殆どの処理系は、その画面遷移のアニメーションがCPUパワーを消費することで余分にユーザを待たせるようになってしまった。そもそもアプリが起動中かどうかを見せるだけだったり、画面遷移を行う入力を正しくコンピュータが認識しましたよってのを伝えるだけなら、スプラッシュスクリーンの一枚絵でも十分なはずだった。でも企画やデザイナーは動きのある画面にこだわっていた。
えてして何かと何かを組み合わせて両方の欠点を補おう的なやつは、片側の技術の進化が速いときにはダメな気がする。一方でハイブリッド的なものがなんでもかんでもダメだったかというとそうではなくて、うまく行ってるやつはそれが当たり前になり過ぎてハイブリッド感が一般人には感じられないくらいにハイブリッドになっているのだ。たとえばSRAMとDRAMの組み合わせだったり、DRAMと不揮発二次記憶の組み合わせだったり、CPUとGPUの組み合わせだったり、u-bootだけNORに入っててそのあとはNANDだったりというストレージ構成とかそういう感じで。