リングフィットアドベンチャーのソフトウェア特許群が巨大すぎて理解しきれないので調べた範囲で解説する

ソフトウェア特許といっていいのかどうかわからないが、ゲームの世界では割と「キャラの操作方法とかキャラの動きとか画像表現の新しいやつを実現します」みたいなやつで特許が出願されて、しかも認められてしまうことがある。前々回のエントリのスプラトゥーン3のイカノボリとかは「こんなんで特許取れるんか?」と思われるかもしれないが、個人的にはあれは割と取れちゃうんじゃないかなと思っていて、なぜかというとインクを塗った壁をインクに潜って登れるゲームなんて他に存在してないからだ。新規性は十分にあって、じゃあ進歩性は…「インクに潜った状態で壁に張り付いているときだけジャンプボタンを長押しできるなんて、俺たち以外思いつかないよね? 壁を登ってないときにはジャンプボタン押された瞬間にジャンプのアクションが開始されるんだからさ…」って言われたら…まあそうかなと思ってしまうじゃん。

 

 

だからリングフィットアドベンチャーのようにコントローラ自体が新規なものだったらUIやゲーム操作関係でめちゃくちゃたくさん特許を出願して登録まで持っていくチャンスだしそれは絶対やっていくというのが企業としてあるべき姿だと思う。いくつか見た感じだと下記のような感じでいっぱい登録されている。

 

  • 特許6681505 リングコンでメニューを選ぶときの操作(リングの向きで選択、押し込みで決定)の特許
  • 特許6670028 ふとももにつけたジョイコンのセンサに合わせてキャラクタが道中を走、リングコンを引っ張ってコインを吸い込んだり、リングコンを押して空気砲を発射し箱を壊したり、ジャンプできるような操作についての特許
  • 特許6770145 フィットネス動作を選んで敵にダメージを与える敵との戦闘シーンの一連の流れに関する特許
  • 特許6688423 リングコンを使ったミニゲームモグラたたき」の特許
  • 特許6688424    リングコンを使ったミニゲーム「ツイストバッティング」「クライミング」に関する特許
  • 特許6688425 これもミニゲームの「ろくろ回し」「バランスウォーク」についての特許のようだ

 

最初、ひとつひとつ明細書をチェックしていこうかと思ったのだが、非常に複雑で、慣れてない僕のような人間にとっては1件の明細書を理解するまでに1~2日かかり、しかもそれが正しいという自信が持てないという事態に陥ってしまったので、上記の最初の3件のさわりだけ紹介することにしたい。各特許たちの間には重複する記述も多く、それぞれの特許間の関連性も含めて見極めないと完全な理解には至らないし、それは片手間では困難だと思った。

 

前回までのエントリで検索とか特許公報の確認に使っていた特許庁のJ-PlatPatというシステムが前の木曜日の夕方から3連休明けの月曜の朝までメンテで使えなくなっていたため、残りの詳細はGoogle Patentで調べることにしてリンクもGoogle Patent側に張るようにしてみた。このため審査の経緯みたいなものはうまく調べられず、事実誤認があるかもしれない。ご容赦いただきたい。

 

特許6681505    情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム、および、情報処理方法

 

patents.google.com

 

リングフィットアドベンチャーのメニュー選択の操作は、リングを動かして(リングの向きを変えて)カーソル移動・リングを内側に押し込むとで決定・引っ張りはキャンセル。

この操作は独特であり、当然のように特許が取られている。

請求項1~3は下記に引用するが、前半部分はほぼ同じなのだが、後半は請求項1~3で、それぞれ違っている。特に下線部の部分は最初の出願時にはなかったが審査請求にあたって補正した箇所のはずなので、本当はもっと広範なものを取りたい欲はあるんだけど

「さすがに物を変形させて決定操作ってだけだとダメだよな。なにか限定をつけないと」

となって、前半部分の「変形するコントローラをある方向に変形させると1つめの操作(決定)・逆方向だと2つめの操作(たとえばキャンセル)とするUI」に加えてそれぞれ、

  • 逆方向に変形させると違う操作になる。さらに、普通の決定ボタンもあるんだけど遠い場所にあるから変形でも操作できるってやつはどうだろう(→ 請求項1)
  • ジャイロセンサでメニューを選んで変形で決定操作、と限定する (→ 請求項2)
  • 円形のコントローラで、押し込みは決定、引っ張りはキャンセルってとこまで限定してみるか (→ 請求項3)

という構成で、基本リングコンは請求項3なんだけどもうちょっと広範囲に権利をとっておきたい、ってのが垣間見れる構成になっている。

 

【請求項1】
  第1センサを備えユーザに把持されるトレーニング器具と、当該トレーニング器具と一体または別体のコンピュータと、を備える情報処理システムであって、
  前記トレーニング器具は、外部から力が加わらない場合には定常状態となり、外部から力が加わると定常状態から変形するように構成され、
  前記第1センサは、前記トレーニング器具の変形に応じた出力を行うように構成され、
  前記コンピュータは、
  (1)前記第1センサの出力に基づく第1センサ情報を受信し、
  (2)前記ユーザによる指示を受け付けるメニューを提示し、
  (3)前記メニューが提示されているときに、受信した前記第1センサ情報が、前記トレーニング器具が第1方向に変形したときの出力を示す場合、前記メニューに対する第1指示に応じた処理を実行し、受信した第1センサ情報が、前記第1方向とは逆側の第2方向に前記トレーニング器具が変形したときの出力を示す場合、前記メニューに対する指示であって、前記第1指示とは異なる第2指示に応じた処理を実行する、
ように構成され
  前記トレーニング器具は、前記ユーザの手で把持される把持部分を2つ有し、
  前記トレーニング器具は、当該トレーニング器具を変形させる操作とは異なる操作を受け付けることが可能な操作部を備え、
  前記コンピュータは、
    前記操作部の出力に基づく操作情報を受信し、受信した操作情報が、前記操作部に対して第1操作が行われたときの出力を示す場合、前記メニューに対する前記第1指示に応じた処理を実行し、受信した操作情報が、当該第1操作とは異なる第2操作が前記操作部に対して行われたときの出力を示す場合、前記メニューに対する前記第2指示に応じた処理を実行し、
  前記操作部は、定常状態である前記トレーニング器具の2つの前記把持部分のそれぞれを前記ユーザが把持した状態において当該ユーザの手が届かないあるいは届き難い領域に設けられる、情報処理システム。


【請求項2】
  第1センサを備えユーザに把持されるトレーニング器具と、当該トレーニング器具と一体または別体のコンピュータと、を備える情報処理システムであって、
  前記トレーニング器具は、外部から力が加わらない場合には定常状態となり、外部から力が加わると定常状態から変形するように構成され、
  前記第1センサは、前記トレーニング器具の変形に応じた出力を行うように構成され、
  前記コンピュータは、
  (1)前記第1センサの出力に基づく第1センサ情報を受信し、
  (2)前記ユーザによる指示を受け付けるメニューを提示し、
  (3)前記メニューが提示されているときに、受信した前記第1センサ情報が、前記トレーニング器具が第1方向に変形したときの出力を示す場合、前記メニューに対する第1指示に応じた処理を実行し、受信した第1センサ情報が、前記第1方向とは逆側の第2方向に前記トレーニング器具が変形したときの出力を示す場合、前記メニューに対する指示であって、前記第1指示とは異なる第2指示に応じた処理を実行する、
ように構成され
  前記情報処理システムは、前記トレーニング器具の動きを検知する第2センサをさらに備え、
  前記メニューは、前記ユーザがそれぞれ選択することが可能な複数の項目を含み、
  前記コンピュータは、前記第2センサの出力に基づく第2センサ情報を受信し、受信した第2センサ情報に基づいて前記複数の項目から1つの項目を選択する処理を実行するように構成され、
  前記第1指示に応じて実行される処理は、前記複数の項目のうちで選択中の項目に対する処理であり、
  前記コンピュータは、前記トレーニング器具が第1方向に変形している期間に含まれる所定期間においては、前記第2センサの出力に基づく処理を実行しない、または、前記トレーニング器具が定常状態である場合に比べて当該処理の感度を低下させる、
ように構成される、情報処理システム。


【請求項3】
  第1センサおよび第2センサを備えユーザに把持されるトレーニング器具と、当該トレーニング器具と一体または別体のコンピュータと、を備える情報処理システムであって、
  前記トレーニング器具は、外部から力が加わらない場合には定常状態となり、外部から力が加わると定常状態から変形するように構成される円環状の環状部を備え
  前記第1センサは、前記トレーニング器具の変形に応じた出力を行うように構成され、
  前記第2センサは、前記トレーニング器具の動きを検知するように構成され、
  前記コンピュータは、
  (1)前記第1センサの出力に基づく第1センサ情報を受信し、
  (2)前記第2センサの出力に基づく第2センサ情報を受信し、
  (前記ユーザがそれぞれ選択することが可能な複数の項目を含み、前記ユーザによる指示を受け付けるメニューを提示し、
  (4)前記メニューが提示されているときに、受信した第2センサ情報に基づいて、前記複数の項目から1つの項目を選択する処理を実行し、
  ()前記メニューが提示されているときに、受信した前記第1センサ情報が、前記トレーニング器具のうちで前記ユーザの手で把持される2つの把持部分が近づく方向である第1方向に当該トレーニング器具が変形したときの出力を示す場合、前記複数の項目のうちで選択されている項目に関連付けられる処理を実行する旨の決定指示である第1指示に応じた処理を実行し、受信した第1センサ情報が、当該2つの前記把持部分が離れる方向である第2方向に当該レーニング器具が変形したときの出力を示す場合、前記メニューに対する第2指示であって、前記決定指示に応じて実行される処理の結果を元に戻す旨のキャンセル指示である第2指示に応じた処理を実行する、
ように構成される、情報処理システム。

 

特許6670028    情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法 

 

patents.google.com 

これはゲーム画面での特許になる。リングフィットアドベンチャーの道中、プレイヤーの膝に取り付けた左ジョイコンのセンサで膝の動きを取得し、それに従ってプレイヤーキャラに走る動作をさせて前に進ませると同時に、リングを押し込むことでリングの向きに空気砲を発射したり、リングを引っ張ることでリングの向きに配置されたコインを吸い込んだりすることができる。

 

任天堂リングフィットアドベンチャーの公式ページの紹介文

 

この特許はこれらについて記載されていて、排他的な実施権を主張するものだが、主眼になっているのは「リングを押し込んで空気砲」みたいなものではなく、「走りながらリングの向きを変えることができる」という部分になっている。請求項1は下記の通りとなっている。

第1装置、第2装置、および情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記第1装置は、
ユーザの下半身に装着される当該第1装置の動きを検知する第1センサと、
前記第1センサの出力を送信する第1送信部とを備え、
前記第2装置は、
ユーザの上半身に装着またはユーザの手に把持される当該第2装置の動きを検知する第2センサと、
前記第2センサの出力を送信する第2送信部とを備え、
前記情報処理装置は、
前記第1センサおよび前記第2センサから送信される出力を受信する受信部と、
前記受信した前記第1センサの出力と前記第2センサの出力とが何れも所定条件を満たしている間、仮想空間内で仮想オブジェクトに第1の所定動作を継続させる制御部とを備え
前記仮想オブジェクトの第1の所定動作は、仮想空間内における当該仮想オブジェクトの移動であり、
前記制御部は、前記第1センサの出力と第2センサの出力とが何れも前記所定条件を満たして前記仮想オブジェクトの移動が継続している状態において、さらに当該第2センサの出力に基づいて、当該仮想オブジェクトに当該移動を継続させながら第2の所定動作をさせる、情報処理システム。

抽象的な書き方をされていて難しいが第1センサ=ふとももにつけたジョイコン。第2センサはリングコンにつけられたジョイコンのことだ。特許の詳細な説明をざっと読んだ感じでは空気砲やジャンプなどには言及されておらず、第1センサと第2センサの組み合わせでどのように走る判定をするかとか、走りながら向きを変えることができるようにしたとかそういう話が書かれているので、空気砲やジャンプなどについては別の特許があるのかなと思う。

ところで、この特許60770028の詳細な説明には、どちらかというと太もも部分に付けた左ジョイコンのセンサでどのように歩いたりジョギングしたりを判定するかについて長々と書かれている。

例えば、ユーザの左股の前部に締着されたベルト型拡張装置6に装着される左コントローラ3は、ユーザの足踏み操作に応じて、実空間における重力方向(鉛直方向)に垂直なユーザの左右水平方向を軸として起立状態(左コントローラ3の長軸方向が鉛直方向に向いた状態)と仰角状態(左コントローラ3の当該長軸方向が当該起立状態からユーザの前後水平方向へ近づいた状態)との間を揺動(図示M1方向の揺れであり、前後揺れと記載することがある)するように動かされる。一例として、ユーザが左足を床面につけて静止して立っている状態において…
  :

また、例えば、ユーザが両手で把持するリング型拡張装置5に装着される右コントローラ4には、ユーザの足踏み操作に応じて、実空間における重力方向の揺れ(図示M2方向の揺れであり、縦揺れと記載することがある)が主に…
  :
このようなベルト型拡張装置6に装着された左コントローラ3およびリング型拡張装置5に装着された右コントローラ4を用いて、ユーザが停止状態から動き出した(すなわち、足踏み操作を開始した)状態を検出する方法(動き出し検出処理)について説明する。
  :
次に、ユーザが「歩き」または「ジョギング」によって動き出したと判定された後において、移動が継続しているときに、ユーザが「歩き」で動いているのか、または「ジョギング」で動いているのかを判別する方法について説明する。一例として、後述する第1動き出し後動作判別条件、第2動き出し後動作判別条件、および第3動き出し後動作判別条件の全てを満たす場合、…
  :

これはリングフィットアドベンチャーの開発者が真に工夫を強いられたのはこの部分であるということで、この部分で特許をとれないかを考えたのだろうか。後にこの特許が分割され、走る動作を判定する部分だけに特化した、特開2021-16772が作られている。 

patents.google.com 

この請求項は下記のようなものだった。

【請求項1】

第1装置、第2装置、および情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記第1装置は、
ユーザの下半身に装着される当該第1装置の動きを検知する第1センサと、
前記第1センサの出力を送信する第1送信部とを備え、
前記第2装置は、
ユーザの上半身に装着またはユーザの手に把持される当該第2装置の動きを検知する第2センサと、
前記第2センサの出力を送信する第2送信部とを備え、
前記情報処理装置は、
前記第1センサおよび前記第2センサから送信される出力を受信する受信部と、
前記受信した前記第1センサの出力と前記第2センサの出力とが何れも所定条件を満たしている間、仮想空間内で仮想オブジェクトに第1の所定動作を継続させる制御部とを備える、情報処理システム。

さすがにこれはシンプルで範囲が広すぎてヤバいだろうと思う。こちら側の特許はまだ登録されておらず審査請求プロセスの真っ最中のようだ。当然上記のような請求項では特許として認められなくて補正書が出されているようだがどういう査定があってどう対応したのかまでは読み切れてない。こちら側の特許が登録されたときにはどのような請求項になっているかをチェックする必要があると思う。

 

特許6770145    情報処理システム、情報処理装置、情報処理プログラム、および、情報処理方法 

 

patents.google.com

リングフィットアドベンチャーで道中をこなしていくと敵とエンカウントして戦闘シーンとなる。戦闘シーンでは自分がどのようなフィットネス運動をするかを選び、その運動をすることで敵にダメージを与えることができるのだが、同じ運動を連続して選ぶことができず、別の運動を何ターンかやる必要があるということになっている。
請求項1では、敵への攻撃にあたって使うフィットネス運動を何種類かのメニューのなかから選べること、そして一度使った運動がしばらく使えないことを特徴とするプログラムが特許請求の範囲とされている。

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行される情報処理プログラムであって、
プレイヤによるフィットネス動作に応じたセンサの出力に基づく動作データを取得する取得手段と、
パラメータが一定に達した場合に満たされる達成条件が設定されるゲームイベントを実行するゲームイベント実行手段として前記コンピュータを機能させ、
前記ゲームイベント実行手段は、
プレイヤにフィットネス動作を行わせるフィットネスイベントであって、種類によって前記パラメータの変化のさせ方が異なる複数種類のフィットネスイベントのうちから少なくとも1種類のフィットネスイベントを指定する指定手段と、
前記ゲームイベント中において、指定された前記フィットネスイベントに対応するフィットネス動作を、終了条件が満たされるまで前記プレイヤに行わせる第1フィットネスイベントを実行する第1フィットネスイベント実行手段と、
前記第1フィットネスイベント中に取得された前記動作データおよび指定された前記フィットネスイベントの種類に基づいて変化した前記パラメータに基づいて、前記達成条件が満たされたか否かを判定する達成判定手段とを含み、
前記ゲームイベント実行手段は、前記指定手段による指定および前記第1フィットネスイベント実行手段による実行を、前記達成条件が満たされたと判定されるまで繰り返し、
前記指定手段は、所定の回数指定されたフィットネスイベントについて、再度指定可能となる条件を満たすまでの間、当該フィットネスイベントが指定されることを制限する、情報処理プログラム。

 

このうちの「一度選択した運動がしばらく使えない」限定は審査請求にあたって追加されたものだ。さすがにフィットネスの運動を選べるだけでは特許として認められないということなのだろうか。しかしじゃあそれが「一度使った攻撃方法を数ターンの間使えないこと」が追加されたからといって特許として認められるというのはどうなのだろうかという気がする。「プレイヤーが選んで使った攻撃方法と同じものをしばらく使えない」というゲームは過去からいくらでも存在するからだ。例えばPC-8801mk2SRというパソコン用に1986年に発売されたシルフィードというゲームでは、ステージ開始前に複数のメニューからそのステージで使用する武器を選択できるが、一度使った武器は次のステージでは使えなくなっている。

シルフィードの武器選択時の様子。赤が現在選択中の武器アイコンで、濃い青色の武器アイコンは前のステージで使っていたために選択できないことを示している

ところで、そもそもフィットネスの運動をやって敵を倒すということ自体を特許にできないものだろうか? 知財部門ならそれを当然考えるはずで、こちらにももれなく分割された特開2021-10739という特許が存在しているのだ。

patents.google.com

例によって出願時の請求項は下記のように非常に広い範囲をカバーするように記載されている。

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行される情報処理プログラムであって、
プレイヤによるフィットネス動作に応じたセンサの出力に基づく動作データを取得する取得手段と、
達成条件が設定されるゲームイベントを実行するゲームイベント実行手段として前記コンピュータを機能させ、
前記ゲームイベント実行手段は、
プレイヤにフィットネス動作を行わせるフィットネスイベントであって、複数種類のフィットネスイベントのうちから少なくとも1種類のフィットネスイベントを指定する指定手段と、
前記ゲームイベント中において、指定された前記フィットネスイベントに対応するフィットネス動作を、終了条件が満たされるまで前記プレイヤに行わせる第1フィットネスイベントを実行する第1フィットネスイベント実行手段と、
前記第1フィットネスイベント中に取得された前記動作データに基づいて、前記達成条件が満たされたか否かを判定する達成判定手段とを含み、
前記ゲームイベント実行手段は、前記第1フィットネスイベントの指定および実行を、達成条件が満たされたと判定されるまで繰り返す、情報処理プログラム。

しかしこれはさすがにムリじゃないかなあと個人的には思う。現れてくる敵を倒すためにリアルな世界の常識では全然「それ攻撃じゃないじゃん」みたいな動作を行ったらなぜか敵がやられる、みたいなゲームやアニメはこの日本ではごくごく普通に昔から存在しているからだ。


そんなわけでとても全部を消化しきれてない状態でのエントリになってなんだか心苦しいが、リングフィットアドベンチャーのようなクラスのゲームになると、ゲーム内容もてんこ盛りなうえに、それぞれに対して特許が複雑に絡み合っているので全貌を把握することが非常に困難だということが個人的にも実感できた。冒頭に挙げたようにそれぞれのミニゲームにも特許があり、それらにも分割されていままだ審査請求中のものが存在するかもしれない。さらに気づかないような演出にも特許が取られている可能性もある。

これはたとえば前回のエントリで挙げた中だと特許6681504の要約には下記のような内容が書かれている。これが実際のゲームの中で使われているかどうかは僕にはよくわからなかった。

情報処理システムの一例は、力を加えられることで変形するリングコントローラを含む。リングコントローラに対する押し込み操作又は引っ張り操作が行われた場合、基本BGMに対して第1BGM又は第2BGMが重畳されて出力される。また、押し込み操作又は引っ張り操作が行われている場合において、リングコントローラの姿勢が変化された場合、フィルタ処理又はディレイ処理が行われる。また、押し込み操作又は引っ張り操作が検出された場合、そのときの姿勢に応じて楽器音が付加される。

 

今回の最初の特許6681505にあるような、複数の請求項でそれぞれ限定のつけかたを変えて特許として成立させつつできるだけ広い範囲の権利をおさえようとするやり方であるとか、特許6670028に見られるような、分割して特許ファミリーを構築していくやり方などは、やっぱり世間にインパクトを与える製品を作っている会社の知財として、きっちりやられているなと思わざるを得ないところがあった。そして真面目に見ていたら1件1日では到底ちゃんと読み切ることができなかった。というわけで非常に中途半端な感じではあるがリングフィットの特許を深堀していくのはもうこのへんで終わりにしたい… 請求項まで見たのが良くなかった。ここまで見るなら1エントリ1件しか書いちゃダメだったな。