NVidiaのARM戦略はかなり面白い感じだ

PC向けGPUカードにARMコアを入れるという発想は僕にはなかった。

●ハイエンドGPUにもARMコアを載せる
 モバイル向けTegraではARMコアを積極的に採用(Tegra 2は3個のARMコアを搭載する)するNVIDIA。では、ハイパフォーマンスなGPUコンピューティング製品などの場合はどうなのか。ハイエンドGPUへのCPUコアの統合は、どんなビジョンなのか。

 「今すぐに、ではない。ARMは、最も急速に伸びていて、OSとアプリケーション開発者から最も支持されている。とはいえ、いまだARMはコンピューティングの面ではパフォーマンスが低すぎる。我々はそれを考慮しなければならない。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20101007_398325.html

 「その通りだ。それから、我々がどの時点で(ARMコアを)必要とするようになるかも考慮しなければならない。64-bit(アドレッシング)も必要だ。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20101007_398325.html

 NVIDIA関係者は、GPU側でドライバソフトウェア(ランタイムコンパイラ)やOSを走らせる可能性を数年前から示唆してきた。ATI Technologiesでも、AMDに統合される前に、同じような可能性を示唆していた。CPUコアを統合すれば、GPUコンピューティングでは、GPUだけでノードを構成できるようになる。また、ARM側も、3-wayスーパースカラで8命令発行のOut-of-Order実行(60命令ウインドウ)の「ARM Cortex-A15」を発表。ARMの方向性とNVIDIAの要求は、リンクしているように見える。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20101007_398325.html

ARMが乗ったGPU向けのゲームってビデオカード依存になってしまったりしないのだろうか。たしかに最初はスーパーコンピューティング用途から入るのかもしれないけどそれをゲームに使わない手はないよね。でもNVidiaだけでボリュームが構築できるかと言われると微妙だしな。


そんなわけで…NVidiaとしてはPCゲーミング市場はほったらかしにして大規模計算とモバイル・車載デバイスに手を伸ばしまくっていて、特に今回のCESではそれが明らかになってきたわけなんだけど。

5年以内に、(記者会見の場に)誰1人としてPCを持って来なくなるだろう。これは、非常に予測が容易だ。3年以内なら、あなた方(記者)のほとんどはPCを持っていないだろう。1年以内なら、何人かは持っていないだろう。だから、5年が、(現在の)PC産業の全ライフとなる。実に危険な時代だ(笑)」(Huang氏)。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20101007_398325.html

PCを持ち歩かなくなるよなー、っていう話は過去に僕も感じたことがあって、最初は2003年にSL-C750と512MBのSDカード(当時3万円以上もした!)を購入したときにそう思ったし2006年〜2007年に出席した結婚イベントなどで実感した([id:naoya2k:200707]。ただ僕としてはこのへんの変化の要因としてはARMベースSoCが進化したからでも、iOSAndroidが出てきたからでもなく、基本的には大容量NANDフラッシュによってHDDを持ち歩かなくてよくなったことが大きいんじゃないかとも思ってるんだけど。


1992〜95年頃はEWSとブラウン管ディスプレイがないとなにもできないと思っていた。Win95が出てPCでもなんだか仕事がちゃんとできるようになってLi-ionバッテリとTFTのパネルが普通になって1.5kgのノートPCでだいたいなんでもできるようになった。2000年頃にはEWSは姿を消しつつあった。そのあたりと似たような変化だと思えばよいのだろうか。というか冷静に考えるとこれについてはNVidiaあんまり関係ないんじゃないか。


タブレット型モバイルデバイスが急に流行ったせいで思いがけず高解像度グラフィックが必要になってTegraがぴったりハマってNVidiaに注目が集まった、という棚ボタ的な解釈でもいいのかもしれん。