X68000 Z発表で考えるX68000のあり方

X68000 Zの写真を見たときに最初に思ったのは「造形が微妙だな」ってことだった。もともとX68000初代は全体としてそこまでデザインが最高にカッコいいってわけではなく微妙にダサい部分が沢山ある中でLEDの光りかたとか電源スイッチの感触とか、オートイジェクトフロントローディングの5インチFDDの緻密な雰囲気とか実際に動いているソフトウェアの未来感とかそういうところでカッコよさを感じるようなモノだったわけだけど、X68000 Zではベース部分の厚さが分厚くなってたりフロッピーのスロットが太くなったりするとそのへんの絶妙だったバランスがくずれてしまっているように見えるのだ。ベース部分についてはゲームショーに展示されたモックではPHONESのデカールは端子の下側、VOLUMEのデカールはつまみの上側にあって横一直線に揃っていないところはとてもよくなかったが、ZUIKIのページ( http://www.zuiki.co.jp/x68000z/ )にある画像ではちゃんと両方下側で端子の中心とボリュームつまみの高さが揃っていて安心した。

 

まあデザインはさておきいまX68000のミニチュアのカタチをしたX68kらしい意味のある商品って何だろうと思ったときに、特に何もできそうな気がしなくて(グラディウスとかSION2とかが動いたりしても、だから何だ?ってなってしまう)、だから今までそういうものが存在しなかったんだろうと思うしどういう企画なのかなってのはめちゃくちゃ気になる。

 

メガドラミニとかPCエンジンミニみたいなやつでX68kらしさを出すならソフトをユーザーが自由に作って追加できるHDMI出力のミニ据え置きハード、とかなんだろうか。意味があるのかな? 当時X68kでゲームを僕らが作っていたのはそれ以上に良いゲームを作れるハードウェアがあんまり存在しなかったからであって、いまゲーム機用のソフトをPCで作るんならそのままPC上で動くゲームを作ってしまいそう。

 

下記のインタビューによれば「歴史をもう一回」とか、「その当時の文化として皆さんがX68000でやられていた遊び、プログラミングやゲームなどがあると思うんですが、我々としてはそこは大事にしたい」とか書かれている。

【インタビュー】【TGS2022】瑞起「X68000 Z LIMITED EDITION」インタビュー - GAME Watch (impress.co.jp)

皆さんはゲームをやられてたんでしょうけれど、入口はどちらかというとワークステーションだったと思うので、ゲーム大前提と言うよりはワークステーションめいたプログラミングができたりとかいう思い出があったと思うので、そういうのを聞いてるとそっちを再現したいとかですね、我々としてはそういう思いを持ちますね。

 

とはいえX68000を当時どう使っていたかは本当に人によって千差万別だったしワープロ.xとかシャーペン.xをワクワクしながら使った人も居れば、ゲームばかりやってた人とかひたすら絵を描いていた人とか音楽作ってた人とかも居るだろうし、プログラミングにしてもゲームだったりサウンドだったりグラフィックだったりとやっぱりバラバラで、絵や音楽やワープロについて再現されたとしても、当時はこれがそれなりの性能のマシンだったから意味があったけど今となっては懐かしいとか歴史的価値以外のものはないような気がしていて微妙な気分になるような気がする。

 

昔のコンピュータってことは忘れてHDMI入力端子をつけてプログラマブルなキャプチャデバイスになるとか、ネットワークメディアプレイヤーになるとか、IRブラスターが標準装備で家電が制御できちゃうとか、それかもうRISC-Vの勉強用マシンとしてめっちゃ使えるやつにするとかそういう方向性だったらちょっと面白いかなとも思うけどそれはこの形である必要があるのかと言われると違うような気もするし難しいな。

 

 

個人的にはフロッピーの部分をSDカードスロットにするならCompact系の筐体のほうがあっていると思いました。でもCompactだけ出すとかあり得ないからしょうがないよね。絶対「X68kはやっぱりツインタワーじゃないと」って言われるからね…