Raspberry Pi 400を購入して、このキーボードは使い物にならないと思ったけどそうでもなかった件

少し前に買ってた。キーボードはJP配列

Pi4を買ってなかったのでどうせならPi400を待とうかなと思ったのはJP向けが去年(2021年)春に発売されるという情報が流れた2020年末頃のことだった。しかし実際に入手可能になったのは今年に入ってからだったのでほぼ1年遅れ。Pi4が発売されてから2年以上経ってて微妙だなという気もしたがこの2年間特にPi4なしで問題があったわけでもなし。

 

ファーストインプレッション的なやつ

良いところ
  • 電源ボタンがある
  • キーボード一体型で持ち運び&取り回ししやすい
  • Pi4Bだとケースをどれにしようか、放熱をどうするかとか悩む必要があるがPi400はそのへん悩まなくていいので楽ちん
個人的にちょっと残念なところ
  • でかい。もっとピッチのちいさいキーボードだったらもっとよかった。
    12インチのレッツノートよりも横幅がでかい。僕がいま使っているキーボード付きデバイスでこれより横幅がでかいものはMacBook Airくらいであり、割と残念
  • キーボードが微妙。キーの中心以外を押しこんだとき、「クリック感があるのに入力されていない」という現象がわりと高確率で発生する。タイプのしかたによっては問題にならないかもしれないので、キータッチに問題があると感じるかどうかは人によるだろう。
  • 最上段のファンクションキーの配置。F11とF12だけFnを使わないと入力できない微妙な配置。キーをつめてF12まで並べるか、Fキーとそれ以外の間だけスペースを開けるとかしてほしかったなあ。
  • コネクタが微妙に不便
    内側にオフセットされていないからケーブルを繋ぐと後ろに飛び出る形になり取り回しに苦慮する
    L字形のコネクタを使えるか試してみたが隣り同士のコネクタが干渉してムリという感じだ。
  • HDMIがフルサイズではなくmicroHDMIなので、変換アダプタを使うとさらに後方に飛び出る形になってしまうつらみ。

 

最大の特徴だったキーボードが微妙だったのは本当に残念で、「これは一見パンタに見えるけども実際にはもっと安物がつかわれているんじゃないだろうか?」なんて疑いを持ってしまうくらいにキータッチがいまいち僕の好みではないもので、そして致命的なのが押したはずなのに入力がとりこぼされてしまうところだった。個体差かもしれないと思った。

Pi400を購入してしばらくして同僚から「私もPi400買おうと思ってるんですよね」と雑談したときに「あのキーボードには期待してはいかんぞ」と答えてしまったくらいだ。

 

キーボードについて

しかしあまりにキーボードがイケてないので、どんなキーボードを使ってやがるんだこいつと思い分解してキーを確認することにした。

Pi400の中を見るのはこの手のものを分解したことがある人にとっては簡単である。ネジがなく上下のプラスチックのパーツがツメでとめられているので、隙間をこじあけてとめられている部分を外していくだけで上下が分解できる。上側のキーボードと下側のメインボード部分に綺麗に別れる。

これがそのキーボード側だ。

Pi400のキーボード裏面

キーボード裏面

事前の予想を覆して、全くもって、コストダウン一辺倒な作りではなかった。

構造を見るとちゃんとパンタグラフ式のキーボードであり、大きめのキーには丁寧にスタビライザ(金属部品)が付けられている。たとえば安物のキーボードではCapsLockキーにスタビライザは付かないが、Pi400の日本語キーボードのCapsLockキーはちゃんとスタビライザが付いている。スペースキーには上下2本、Enterキーには縦と横の2本のスタビライザが使われている。これはなんだか贅沢な気がする。

左ShiftとCapsLock。

左ShiftとCapsLockとTab。Shiftには2つのパンタグラフが使われているがこれは欧州のキーと共通化するためかも。

つまりPi400のキーボードはそこまでコストをケチったわけでもないのに、キータッチがよくないし入力を取りこぼすのだ。なぜかはわからない。

 

でもひとつだけいくつか気づいたことがある。キーボード背面どまんなかに貼られている「Japan 日本」書かれたシール。僕の購入したPi400の個体は、このシールの中央にたわみがあった。それにこのシールはキーのパンタグラフ部品にも部分的にくっついてしまっている。これはよくないだろう。

このシールを丁寧にはがし、パンタグラフ部品にくっついている粘着物を拭き取って再度組みたてたところ、中央部のキーの入力取りこぼしは激減した。これまで「i」とか「u」とか「e」などがよく取りこぼされていて、「じぇい」と入れようとして「じ」になったりして苦しんでいたが、それがかなり減った。

 

中央部のキーが正しく反応するようになって大分マシになったもののやっぱりキータッチが良くないし矢印キーと左Shift、それからSpaceはまだ入力取りこぼしが発生しがちである。左Shiftは欧州配列との共通化のためにパンタグラフが2つ使われているがそのうちの左側に接点があるようで、それが良くない結果(左端周辺を押したときに角度によって入力されないという現象)を生み出しているような気がする(なぜ右側を使わなかったのかと思う)。いまは日本語入力にプレーンなSKKを使っているのでShift取りこぼしはキツい。SandSを導入すべきか悩んでしまうくらい。

Spaceも同様で2つのパンタグラフが並んでいてそのうち右側が使われている。このため左手親指でSpaceキーの左側を押しこんだときクリック感を感じてすぐに離すと、そのクリック感は左側のメンブレンのものであって、右側のメンブレンは押し込まれていなくて、結果として入力がされないという現象が発生するように思える。これも、左手親指Spaceキーを押している僕にはつらい。

(追記) と最初にこれを書いていたときには思っていたが再度分解して確認したらそうではなかった。Spaceも左Shiftも、パンタグラフは2つだがメンブレンはその2つのパンタグラフの中央にあった。このようなキーボードは初めて見た。パンタグラフの内側にメンブレンがないようなパンタグラフキーボードって成立するものなのだろうか??

矢印キーも最悪だが小さいし数が少ないので個別になにかのハックを施して改善できるかもしれない。

 

キーの数が多いほうがいいと思ってJPキーボード版を購入したが、もしUSキーボードで左ShiftやSpaceがまともなのだったらUSにしておいたほうがよかったかも? と思ってUSキーボード版の分解記事(例えば ラズパイ一体型キーボード「Raspberry Pi 400」を分解してみた:名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(第34回) - ITmedia NEWS

  )を見てみたらキーボードの裏面がJPキーボードとは全く違っていた。これは初期型だからこうなのか、それともJPキーボードを作るときにコストダウンされて金属をケチったのかどっちなのだろうか。

 

あるいは、US配列のRaspberry Pi キーボードを買って、Pi400のキーボードと交換できたりしないかなあ。