とある会社で社員エンゲージメントが劇的に上がった話

とある会社で、社員アンケートによって測定されていたエンゲージメントが劇的に上がった。なのでその話を書く。

 

もともとはこの記事で書かれている典型的な日本企業のような状況だった。ここでの「あきらめ社員」というのは、現在の仕事にモチベーションを感じていないような状態の社員のことだ。

日本企業の場合は25%程度に過ぎず、4人に1人しか『活躍社員』が存在しないといいます。その逆に、『あきらめ社員』の比率は50%近くに達しており(好業績企業の場合は25%弱)、日本企業では社員の2人に1人が、エンゲージメントとは程遠い状態あるようです。

 

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そこでこの会社はどういうことをやったかというと、「業績評価が高いあきらめ社員が複数居るような部署があった場合、それは組織に何らかの問題があるということだから、改善案を検討させる」という方針を定めたのだ。

 

それが功を奏した。1年半後の社員アンケートでは、「あきらめ社員」の比率は50%から30%に激減、「活躍社員」も大幅に増えたというのだ。

 

 

なにが起ったのかわかるだろうか? 僕の推測ではこうだ。業績評価のとき、その組織責任者が「あきらめ社員」に対してよい評価をしてしまうと、自分の組織に問題があることになってしまうし、改善するという面倒な仕事が増えてしまうのだ。だから、明らかに「あきらめ社員」をアンケートに書きそうな奴には低評価を与え、そうじゃない人に高評価を与えるという強烈なモチベーションが働くわけだ。そして一般の「あきらめ社員」のうちちょっと頭の回るやつは速攻でそのルールを理解し、アンケートでは「あきらめ社員」にならないように注意して回答するようになり、しかも「自分は会社の方向性にめちゃ共感してますしバリバリ前向きですよ~」というアピールをするようになったのだ。

 

 

もちろんこれは僕の推測だし、人の内心なんてわからないものだから表面上そういう振舞をしていれば全然オッケーという考えかたもある。でもそれでも、自分の仕事にモチベーションを持ってそうに見えるかどうかということが、成果の評価に影響するようなルールを定めてしまうのは、会社としてはマズかったんじゃないかなと思う。