「パナソニックを退社しました」の人

5月31日で、2年とちょっと働いたパナソニックを退社しました。最初半年ぐらいは研修だったので、実質1年半ぐらいで辞めたことになります。

単価計算は人月とステップ数。仕様書を書く上流工程が重要で、コーディングは単純作業という価値観のもとでの開発です。当然正社員はなかなかコーディングに携わることができませんでした。

また、単純作業とみなされがちなコーディングを効率化しようとするモチベーションが少なかったのか、いくつか作業環境で疑問に思うところもありました。例えば、メモリ 1GB ぐらいの遅いマシンでビルドしている、ディスプレイが17インチ、きちんとしたソース管理がない、などです。PCスペックやディスプレイなどは入社の時期によってはそこそこいいものになるんですが、「壊れるまで使う」のが基本のためなかなか新しくなっていませんでした。

それから、入社してからプログラミングを始めたという方も結構いらっしゃったので、どうしてもサイエンスの面からのアプローチが弱かったと思います。オブジェクト指向を知らない(クラスって何? というような感じ)でコーディングしている方もいらっしゃったし、アーキテクチャ、計算量やアルゴリズムを純粋に議論することが少なかったように感じました。

http://blog.yuryu.jp/2012/05/blog-post.html

「2年ちょっと勤めた」ということだから2010年入社。パナソニックは2009年の就職人気ランキングで理系女子3位。2010年には12位になっているけど、それでも人気企業だったみたいで(http://www.diamond-lead.co.jp/ranking10/r-joshi.pdf)、すぐ辞めるなら、なんでそんな人気のところにわざわざ苦労して就職したのかと思っちゃうけどどうなのだろう。なににだまされたのだろう。


「単価計算は人月とステップ数」ということだけど単価計算という単語の意味はちょっとわからない。一番かかってるのは人件費なので人月を見積もることはどうやっても必要で、あと、じゃあ、どれくらいの人月かければ妥当かというところをうまく説明するにはステップ数をはめるしかない。「ステップ数500です。でもこれはとても難しいので1人月100ステップくらいしか開発できません。なので1人で5ヶ月かけます」とかは普通にありなので、結局ステップ数なんてなんの役にも立っていない。役に立っていないからダメというわけではなくオッサンたちがそれで納得するんならそれでいいじゃんと思う。


でもその後に書いてあることは頭が痛いことばかりだ。ビルドやエディットやソース管理が効率化されていないから、無駄に時間がかかり、低効率になるので、そんな効率の悪いことは外注にやらせろ、になる。そうするとその部分の効率化に対するモチベーションも低下する。そして外注とのコミュニケーションオーバーヘッドが増えてコストが嵩んでくる。コストカットのためにオフショアにするんだけどそうするとさらにオーバーヘッドが増える。全くの悪循環。


周囲の人たちの知識のなさはきっと凄いものがあったのだろう。大体そういうところでは有能な人は足をひっぱられている気がする。組織全体としてはとてもレベルが低いのでノウハウは個人にしか溜まらず、それをなにか展開しようとして昨今の便利ツールを使おうと思っても情報セキュリティとかいうキーワードによって反対される。そんな状況で個人で買えないスペシャルな環境が与えられているならともかく、単なるPCで、しかも自分が家で使ってるPCの3倍遅いPCだったなら、まあ家で遊んでたほうがマシだと思うこともあるよな。