東芝メモリが1~3月期に赤字に陥ってたのは割と興味深い

東芝メモリホールディングスの2019年1-3月期連結決算で営業損益が284億円の赤字となっていました。

( https://newswitch.jp/p/17642 )

 

 

去年に東芝東芝メモリの売却を決めたとき「金の卵を外資に売ってしまった」とさんざんバカにされていたと記憶しています。僕は、それが金の卵だと確信できるならなぜ日本人が金を出さないのか、外資に売ったのは直接的には東芝だけど、日本の資産として(もし残すべきだったなら)残せなかったのは日本全体の問題だぞと思っていました。その前の四半期(2018年10-12月期)は540億円の黒字だったとのことなので割と金の成る木というのは正しい表現だったかもしれませんが、もう既に赤字ということなのであればそれは単純に金の成る木というわけでもなく。

 

これを解釈するなら、NAND型フラッシュメモリというのは、市況の良いときには莫大な利益をもたらすけど悪いときにはやっぱり大きな赤字を垂れ流してしまうというような性質を持っているものだと思いますし、そのようなリスク資産を、赤字を垂れ流し続けることが続いたとしても、維持して将来に期待するというようなことができる余裕が、今の日本にはなくなってきているのだろうなということでした。

 

 

ここまでの1年間を短期的にみると、東芝はわりと最高のタイミングでメモリ事業を売り払った、ということになります。売却を決めた当時の東芝をバカにしていた人たちが今どのように思っているのかはとても知りたいですが、そういう人たちはきっと、黒字のときは売らないのが正解で、いまのように赤字になったときには売れ売れというのだと想像してしまいます。

だが、半導体の分社化・売却に対する疑問の声が強まってきた。

「売れない事業を売るのが経営再建の鉄則です。儲かるビジネスを次々と手放しては、本体の再建に支障を来します。東芝は、売れるものから売るという『その場しのぎ』に陥っています。これではダメです」(経済評論家の杉村富生氏)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/204239

もし今東芝がまだメモリ事業を売却できていなかったら、「早く売らないとダメだ」と言われているだろうなと。そういう光景が目に浮かんでしまうのです。でも現時点では、そんなことを言いそうな経済評論家たちよりも、去年売却した東芝の経営陣のほうが圧倒的に賢明な判断をしたということになると思います。