Laundroidがまともに開発できていないのはわかっていた

洗濯物自動折り畳み機Laundroidを開発すると発表していた会社が、結局開発できなくて倒産していた。

https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1181798.html

 

内心では最初からずっと「こいつらうそつきだなー何もできていないんじゃないのか」「何も作ってないくせによくこんな発表できるな」「早く本当のことを言って楽になったほうがいいんじゃないかな??」と思っていたのだけど、ようやくだ。

 

 

2015年10月のCEATEC2015にて「開発スタート」を発表したときには、正直何も開発できていないことが明らかだった。

https://japanese.engadget.com/2015/10/19/laundroid/

 

このCEATEC2015のブースを見に行ったのだが、一目でフェイクとわかる展示だった。展示だけでなく、開発もまだなにも始めていないのではないかと疑われる説明内容だった。

なぜなら、説明のお姉さんが、「現時点で折りたたむ機能はできていますが、今後速度の改善や、精度向上が必要」「開発で一番難しかったのは、洗濯物がシャツなのかパンツなのか靴下なのか、何なのかを認識することだった」などとしゃべっていたからだ。

てっきり、洗濯機に入れたシャツの袖が結ばれた状態になって出てきた場合にどう解けばいいかとか、片方の袖だけが裏返ったシャツがでてきたときにどうするのかとか、ジーンズをたたむときに必要な力とふにゃふにゃのシャツをたたむときに必要な力は全然違い、それをどう解決したのかとかをいろいろ語ってもらえるものだと期待してブースに行った僕はあまりの見当はずれっぷりに愕然とした。

洗濯物がシャツかどうかを判別するのが一番難しかった、というのが本当であれば、シャツかどうかがわかった後にたたむのはそれよりも前にできていたということだ。じゃあ画像をユーザのスマホに送信して、シャツかジーンズかパンツか靴下かを選んだらたたんでくれるってことだろ? そんなものがベンチャー企業で開発できたら僕は小躍りしてその時点で発表するぜ? それを解決するAI開発に時間かけてんなら、そんなセンスのない会社はこっちから願い下げだ。

だから、僕は、この時点では説明もデモも全部嘘で、開発はまだ始まっていないし、これから真面目に開発するかどうかも怪しいと思っていた。

 

その後2016年3月にパナソニック大和ハウス合弁会社が設立されたりしたんだけど、じゃあこれから真面目に開発するんだろうか、どうすんのかな? って感じだった。最初のデモはフェイクでもそれで出資を得たのちに真面目に開発していてがんばって製品を出してくる会社もある(たとえばmagic leapなどだ)。だから、外から見て「いや、これどう考えても真面目に開発してないんじゃね?」って思えるな状態であっても公式発表があるまではあまり揶揄しないでおこうと思っていた。

 

2016年10月には、「2017年3月に予約販売する」という発表をしていた。

この発表も見た瞬間に嘘だと確信できるものだった。

今回予約販売するモデルは、ハードウェアは完成しているが、ソフトウェアは開発最終段階のベータ版となる。

https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1023175.html

 普通、据え置きの家電製品を販売するなら、少なくとも外形寸法や重量は発表されるはずだ。こんだけでかいものを家に置けるかどうか考えずに注文する奴は居ない。しかしどこをどう調べてもスペックは発表されておらず、詳細なスペックが未定とのことだった。つまりハードウェアは完成していないということだ。しかし詳細どころか概要すら不明なので、たぶん試作機すらできていないと思われた。

 

2017年3月には「「ランドロイド」を体験できるカフェがオープン」という不思議な戦略に出た。そもそも開発が遅れているんだからカフェなどやっている場合ではないだろうと思った。

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、世界初の全自動衣類折りたたみ機「laundroid(ランドロイド)」の購入予約を、5月30日から受け付けることを発表した。出荷は2017年末を予定。価格の詳細は発表されていないが、仮価格は185万円~(税抜)。

https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/1049881.html

 3月に予約販売するっていってたβ版の話はどうなったのか? それについて沈黙したまま新たに5月30日というスケジュールを提示する彼らのどこを信用すればいいのだろうか。このとき、仮価格なんかより外形寸法を早く出してくれよ…と僕は思っていた。

あわせて、東京・表参道に、ランドロイドの空間を演出した飲食店「laundroid cafe(ランドロイド・カフェ)」を、3月18日にオープン。店内にランドロイドのティザーモデルを設置し、ランドロイドを身近に感じられるという演出を用意するという。

 

 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ 代表取締役社長 阪根 信一氏は、カフェのオープンについて次のように語った。

 「まだ誰も見たことのないデバイスであるランドロイドを、どのように知ってもらうかを検討した中で、普通のショールームを作るだけでは不十分だと思いました。飲食店であれば、食事をしながら身近に感じてもらえるので、興味を持っていただきやすくなります。多くの人の目に触れて、最終的に購入につながればという思いで飲食店という営業形態にしました」

カフェについて書かれているこの記事を、当時から何度も読み直してみているのだけど、何度見ても「バカじゃねーの?」という感想しか浮かんでこない。

 

2017年5月30日、予約販売について何も進展しないまま、「laundroid world 2017」という謎のイベントが開催されたようだった。

セブンドリーマーズは、2017年5月30日(火)に、世界初の全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」に関するメディアイベント「laundroid world 2017」を開催いたしました。本イベントにて、月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(読み:エアークローゼット)」を展開する株式会社エアークローゼット(本社:東京都港区、代表取締役CEO:天沼聰)および株式会社Cerevo(本社:東京都文京区、代表取締役岩佐琢磨)との協働開始を発表いたしました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000010622.html

もうこいつら全員まとめて信用できない、というか見る目なさすぎだろ。誰かまともに説教してやれる奴は居なかったのかよ…と思ったのだけどいま最後まで読むと…

第三の事業として、世界初全自動衣類折りたたみ機「laundroid - ランドロイド - 」を開発し、2017年5月に限定予約を開始します。また本製品を開発するにあたり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)による助成を受けています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000010622.html

 5月30日のプレスリリースに「2017年5月に限定予約を開始します」と書く、この厚顔さ。

これはすごい。

そしてNEDOの助成受けてたのか。これでもし真面目に開発してなかったらPEZY Computingの件(https://www.nedo.go.jp/news/other/ZZAN_100014.html)と同様に問題になるはずなので、もしかしたらこのころには真面目に開発していたのかもしれない。そうすると今後何をどのように開発していたのかが明るみにでるのかな? なんにせよ最後までほとんど成果がなかったのはたぶん間違いないと思う。

 

2017年10月には下記のように、なんかよくわからん経産省のお墨付きの賞を貰っていた。

経済産業省の主導する、日本の優れたコンテンツ技術を発掘・評価する“Innovative Technologies 2017”において、「industry」分野の特別賞を受賞いたしました。

https://sevendreamers.com/news_release/171031_corporate/

正直細部が秘密の(というか何もない)ままではなにが受賞に値するのか全然わからない。こんなものに特別賞を与えてしまう審査員全員、目が節穴すぎるのでは…と思ったけど、まあ審査員もいろいろ忙しいから漏れることもあるよね…しょうがないよね。

ちなみに審査委員の一覧はここで見れます。

https://www.dcexpo.jp/archives/2017/innovative-technologies.html