既存店客数が落ちたら「客離れ」なんていうコンサルタントの言うことは信じてはいけない

サイゼリヤの既存店売上高や客数が減少傾向にあることから不調と断じている記事を見かけた。

https://president.jp/articles/-/27978

 

この記事の経営コンサルタントは、過去にスシローについても同様の指摘をしていた。

https://blogos.com/article/366236/

 

 

当時スシローの既存店の客数が下がっていたのも、昨今サイゼリヤの既存店客数が下がっていたのも僕の体感にも一致しているし事実だ。でもそれがよくないことだと断定するのは間違っているのだ。なぜならこの2社の状況は、めちゃくちゃ混雑している店があったので近所に新店をオープンしたから必然的に既存店売り上げが落ちた、というものだからだ。

 

  • 既存店客数が下がる前のスシローやサイゼリヤがどうだったかというと、僕の近所にある店では、昼食のピークタイムが過ぎ去り気味の13時30分頃であっても、席に着くまでサイゼリヤで20分以上、スシローでは40分以上待つことが必要となることが多く、子連れの僕らが行ける店ではなかった
  • そういう店があるということは機会損失を発生させている。どうすべきかというと、店舗を改築して席数を増やすことが困難であれば(というかそれが可能ならもうとっくにやりつくしているだろうから)、近隣に新店舗を作って客を分散させるしかない。必然的に既存店客数や売上高は下がる
  • 実際、最近サイゼリヤが店数を増やしたことで、あまり並ばなくても昼食や夕食のタイミングでサイゼリヤに入れるようになり、僕がサイゼリヤに行く回数は増えたし、それは正しい方向だと思う。
  • スシローもサイゼもそういう状況だったので「既存店売上高が下がっている」ことを単純に悪いこととして主張するのは、チェーン店の正しい成長を貶めるような行為で、よくない。
 
客の満足度を高めるためには席の稼働率を下げないといけないが、既存店客数を落とさないためには稼働率を今以上に上げるしかない。既存店売上高を上げるためには回転率を上げるか、単価を上げるか、稼働率を上げるかしかなく、稼働率を上げるためには今以上に行列を長くすることになる。そしてもし(他のファミレスに倣ったかのように)単価を上げたり、行列を長くしたりするなら、それはどちらもサイゼリヤを間違いなくダメにする方向に働くと僕は思う。
 
 
オフピーク時間帯の稼働率や、回転率を上げるアイデアがあればどんどんやればいいけど、それは新店舗を増やすことと並行して両方やるべきことである。そしてそのタイミングが同時でなければ、新店舗を増やす方だけが行われたときには既存店の売り上げは下がるものだ。それへのダメ出しを鵜呑みにするような人が多いなら成長もなにもあったもんじゃないのだ。