iPhoneが液晶をやめてOLEDだけになったらGUIの潮流が変わるかもしれない

ハードウェアデザインの差別化のために扱いの面倒そうな高いデバイスを使うというのはなんとなく凋落していったソニーがそうだったような印象があってあまり好きにはなれない。OLEDは焼付きの問題があるので僕は長く使うデバイスに関してはLCDであってくれたほうが嬉しい。しかもLCDのほうが安くて消費電力が少ない。今後廉価なものは出さない方向なのか、それともOLEDが十分に安くなると踏んでいるのかはよくわからないけど、おそらくこれはAppleがOLEDモデルとLCDモデルが両立していることの面倒さにぶち当たったのではないかという気がする。

 

OLEDの消費電力を抑えるには高輝度で点灯しているピクセルを減らせばいい。Retina Displayの高精細差を目立たせるなら黒い背景に高輝度な細いラインで文字が書かれているような感じの画面が、デザインの差別化の観点からも望ましい方向になると思う(黒い額縁部分との一体感も出る)。しかしそれはLCDにとっては割と苦手なタイプの画面である。LCDでそのような画面を表示すると、高輝度なバックライトのほとんどの光を液晶で遮ってしまうことになり無駄が大きい。液晶に気をつかって今の(iOS 7から続いているような)白基調の画面を使うとOLEDの良さをあまり生かせない。

 

そんなわけでiPhone全モデルがOLEDになる、あるいはOLEDになってしばらくしたタイミングで、iOSのUIデザインが一新される可能性はわりと高いと思っている。今でもAppleのサイトに行くとiPhoneを選んだときだけ背景が黒基調になっているが、最低でもあれが全般に適用されるような感じに画面の雰囲気が変わるはず。それに影響されて世界全体のUIの潮流が変わっていくかどうかは知らないが、少なくともいまのAppleiPhoneの商品ページは、すでにiOS7で提唱された境界線がなくグラデーションを使うフラットデザインではなく、できるだけ真っ黒な背景に、どうしても必要なときには白いくっきりした境界線を引くようなデザインに変わっている。いまのiOSにみんながいま慣れているからといって、白基調ですりガラスレイヤーを使ったUIを5年後の製品に何も考えずに提案しているとまずいことになるかもしれない。